結婚すると大抵の夫婦は同居する訳で、そうすると妻の下着が衣類ダンスの引き出しに、ちんまりと丸められては収められていたりする。その様子はある種の感慨をもたらすものだが、タンスの中の下着に性欲を刺激されるかは、おそらく人それぞれだろう。姉妹がいるため、その状態に慣れている男性にとっては、案外に当たり前の事かも知れない。

 タンスの中ではどうという事はないが、脱衣カゴに入れられた下着は、また違った味わいがある。前者は洗濯された状態であり、後者は脱いだままの状態、すなわち汚れているというのは大きな違いである。脱いで時間が経っていない状態では、女体の温かさまで感じ取れる場合もある筈だ。
 女性が身につけていたパンティやブラジャーは、男にとってフェティシズムの対象になり得る。所有者である女性への思慕が転化したケースもあるだろうが、下着そのものに対する執着が一人歩きを始めることもある。下着コレクターと呼ばれる男性は、元々の動機・願望が何であれ、収集そのものが独自のエネルギーで動き始めている人だと言える。

 もともとコレクションという行為は、その途中から集める事そのものが意味を持ち始めるものだ。収集対象が好きか嫌いかは二の次で、全種類を揃えるとか、他の収集家が持っていないレアアイテムをゲットするとかが、大きな意味を持ち始める。ある種の征服欲や、自分自身の独自性を確立したいという欲求の発露になる訳だ。

 女性下着への執着が昂じて、他人の家から干してある下着を失敬してくるようになるのが下着泥棒で、これは性犯罪の一種であり、窃盗罪に問われる。性犯罪は一般に常習性が高いとされるが、下着泥棒もこの傾向が強く窃盗を繰返して数千枚の女性下着を集めた男性が、時々逮捕されたりする。中には、同性の下着を専門に盗む人もいるらしい。

 下着を単にたくさん集め、それを眺めて楽しむだけでなく、それを身に付けてコスプレをし、その姿を鏡で見たり撮影する事に喜びを見出す人もいる。また、それを直接的・間接的に使ってオナニーをするケースもある。直接的とは下着で包み込んだ状態で自分の性器を刺激することであり、間接的とは視覚や嗅覚によって妄想を掻きたて、興奮することである。

 一般に女性は、下着収集者である男性を気味悪がる傾向がある。下着泥棒でなく、対価を払って下着を入手している収集家は犯罪者ではないものの、その興味の対象が自らを離れてゆく事への無意識の反発や、使用済み下着には汚物や愛液等が付着していることがあるため、嫌悪や羞恥を誘うものと考えられる。